出展者インタビュー Vol.4

こんにちは。松澤です。
出展者インタビューもVol.4となりました。

この展示会では、私が書いた「I love you」の翻訳文(候補は33編)から、それぞれ好きなもの・気になったものなどを選んで各作品のタイトルにしています。

なぜその文を選んだのか、その文を読んでどう感じたのかの2点について聞いていますが、今回の担当は、私、松澤まど花です。
そのため、なぜその文を選んだのか、その文・作品にどんな思いを込めたかの2点について語らせていただきます。
(インタビュー……なのか?)

選んだ文章は「君は真冬のミルクティー。」「もう一人では眠れない。」「どうか、貴方の恋が叶いませんように。」の3つです。


「君は真冬のミルクティー。」

①なぜその文を選んだのか

ちょっと恥ずかしいことばというか、そういう何の曇りもなく明るい文章(のつもり)を拾いたいなと思いました。

②その文・作品にどんな思いを込めたか

これは、「親友」のつもりで作りました。もっと言うと、文章を書いたときは「恋人」のつもりで書いて、作品に着手する頃には自分の中での解釈が変わったというか。
恥ずかしくなりそうなちょっとキザな台詞も、友達との冗談の中でだったら「なにそれ〜(笑)」って笑い合えそうだな、と思って。
作品の中に書いた文章(詳しくは「work」参照)も、そんなとりとめのない日々の中の話です。「明日も会える今日」や、「来年の夏の約束を当たり前にできる冬」って、すごく幸せで優しくていいなって思います。

実際に、写真にもミルクティーが写っています。その日はとても寒い日で、写真を撮りながら指先の冷えること冷えること。そこで、コンビニでミルクティーを買いました。これがもう、めちゃめちゃあったか〜い!
「そうそう、これが『真冬のミルクティー』だよ!(真冬じゃないけど……)」って思いながら、ミルクティーで暖を取りました(笑)
私にとって、真冬のミルクティーは、「心が寂しいときにそばにいてくれるあったかい存在」です。


「もう一人では眠れない。」

①なぜその文を選んだのか

単純にお気に入りでした。いや、もう、自分の作品は自分がいちばんだいすきだと思っているので、全部お気に入りですが。
具体的な視覚イメージが湧いている作品でした。

②その文・作品にどんな思いを込めたか

「もう一人では眠れない。」は悪い意味ではなく、人に適度に寄りかかって生きることだと思っています。私はよく悪夢を見るのですが、そういうときは両親の間で眠ったりしました。一人では眠れないけれど、誰かの温もりの中でなら眠れる。そんな愛の形です。

作品の中に書いた文章(詳しくは「work」参照)は、眠りに落ちるときのイメージで書いています。文字の配置を萎んでいくような三角形にしたのもそのためです。ひつじを数えていた眠れない夜、「誰か」と出会い、眠れるようになる。眠りに落ちかけているので「誰か」が誰であるかも、よく思い出せない。
そんな、現実と夢が曖昧になる瞬間を、写真と文章で表現しました。


「どうか、貴方の恋が叶いませんように。」

①なぜその文を選んだのか

新しいシンセサイザーを買ってうきうきるんるんだったので、館内BGMを作ろう!と思い立ちました。
その時点で、展示会タイトルに選ばれた「どうか、貴方の恋が叶いませんように。」を作る人がいない状態だったので、これはもう、作るしかない!と。

②その文・作品にどんな思いを込めたか

人の気持ちはいつだって矛盾だらけです。「どうか、貴方の恋が叶いませんように。」って言っているけれど、相手の幸せを願っていないわけじゃないと思います。幸せの向かう先が自分だったらいいのに、そんなにうまくはいかないね、みたいな気持ちを込めました。

「貴方」の対象は多くの人がきっと「片想いの相手」を想像したと思いますが、私としてはそれに限ったつもりもありません。「貴方=大切な人」の中で「私」が占める割合があるとします。「貴方」が恋をすることで、その「私」がどんどん淘汰されていくと感じたとき、「叶いませんように」と思ってしまうことはあるんじゃないかな、と思います。
決して口には出さないけれど、生まれてしまう気持ち。しくりと胸を刺すような、自己嫌悪にも似た嫉妬は、当たり前に存在するものなのではないかな、と思いました。

だから、それが優しいものになるように、曲にしました。幸せになってほしい、恋が叶わないでほしい、でもやっぱり幸せになってほしい。その小さなせめぎあいを表現しています。
曲には5拍子になるところがありますが、そこでは「貴方」とのキラキラした出逢いを描きました。注目して聞いてみてください。


曲や詩に対する感想もたくさんいただけて嬉しい限りです。今回、作品にならなかった詩についても、またどこかで語れる日が来ればいいなと思います。では、次回もお楽しみに!


松澤まど花

どうか、貴方の恋が叶いませんように。