出展者インタビュー Vol.6
こんにちは。明日2月16日から、岩見沢市立図書館にて、「i-BOXコレクション展」が開催されます。それに合わせ、このブログ記事も再公開しました。
作品と共に、そこにどんな想いが込められていたかも、ぜひ読んでいただけたらと思います。
この展示会では、私、松澤が書いた「I love you」の翻訳文(候補は33編)から、それぞれ好きなもの・気になったものなどを選んで各作品のタイトルにしています。
なぜその文を選んだのか、その文を読んでどう感じたのかの2点について、出展メンバーに話を聞いています。
さて、最終回は伊藤佑夏さん。選んだ文は「あたし、いま、クレオパトラ。」です。
①なぜその文を選んだのですか?
とにかく語感が気持ち良い!でもこの言葉に込められた想いや背景がどういったものなのか分からなくて、何度も思い出して考えてるうちに文章自体に愛着が湧いたためこの文章にしました。また平仮名と読点がない混ぜになったたどたどしい言葉と、クレオパトラという煌びやかな言葉のアンバランスさが頭に残ったことも理由です。
②その文を読んでどう感じましたか?
最初は、クレオパトラという世界三大美女の1人と自分をいっときでも重ねてしまうほど幸福に満ちている瞬間にある人物、つまり恋が実った瞬間の場面を想像していました。嬉しくて幸せで有頂天!という感じです。
しかしクレオパトラを調べるうちに策略家で自立した落ち着いた像を感じ、文章への解釈もそんなクレオパトラと自分を重ねてなんとか自分を励まそうとするような失恋のイメージへと転換しました。
画面中央に横たわる人物の手には小さな本が握られています。片思い相手のことについてなんでも記すメモ帳です。人物を取り囲む無数の羊は、古代エジプトで使用されていた羊皮紙のイメージから来ており、彼女が使ってきたたくさんのメモ帳の存在を意味しています。あなたのことをクレオパトラくらいなんでも知っているけれど、あなただけは手に入らない、そんなイメージです。
その状況の気持ちがストレートに文字になっているところがこの文で一番好きなところです。歩いている途中や作業中、または本人の前でもポロッとこぼしてしまいそうな本音です。展示作品の他に、「残酷なほどに、不等号」という部分に重りが入っていて文が真下にストンと落ちていくようなイメージがありました。この部分はどのように相手と気持ちがすれ違っているのか解釈する肝だと感じ、その言葉の意味を大事にしながら作品を制作しました。
✉松澤より
この文章は本当にピンポイントに、伊藤さんの作品で見てみたいな〜と思っていました。なので、文章自体に愛着が湧いた、という言葉が嬉しいです。
また、「ポロッとこぼしてしまいそう」というところがまさにその通りで、ふとした瞬間に口から出るような語感を大切にしました。
これは、「恋したら綺麗になる」ということを思って書きました。恋に限らず、誰か・何かを好きでいることに熱を注ぐ人は素敵だなと思います。そんな素敵な「好き」を抱えている女性(というよりイメージは女の子)がいまのあたしってちょ〜イイ女!無敵!っていう文章です。
伊藤さんの解釈は全く別のものですが、私はこの作品を見たとき、これだ!と思いました。内容は失恋とのことですが、やっぱりそこにいるのは「好き」を真っ直ぐに大切にしている女の子に見えます。(文章を書いた張本人の先入観もあると思いますが……)
そんな「好き」に折り重なる、言葉では言い表せないようないろんな感情が、本や羊といったイメージに表れているのかな、と思いました。とても味わい深い作品です。
以上で、すべての出展者インタビューになります。
込められた想いを聞けるとさらに見え方が深まって、私自身とても有意義なインタビューでした!ご覧いただきありがとうございました。
松澤まど花
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