出展者インタビュー Vol.1
こんにちは。松澤です。
この展示会では、松澤が書いた「I love you」の翻訳文(候補は33編ありました)から、それぞれ好きなもの・気になったものなどを選んで各作品のタイトルにしています。
なぜその文を選んだのか、その文を読んでどう感じたのかの2点について、今回から出展メンバーに話を聞いていきたいと思います。
トップバッターは藤野留朱さん。選んだ文は「僕は、君のたったひとつの闇になりたい。」と「苦しむ理由があるとするなら、それは全部あなたが良い。」です。
①なぜその文を選んだのですか?
私は昔から小説を読むのが好きなのですが、自己犠牲的な、少しひねくれた部分を持っている登場人物に惹かれがちです。今回選んだ2文も、そんな「ひねくれ」を感じたので、好きだなと思って選びました。
あとは、私は恋愛云々、甘酸っぱい恋心的なものがあまり分からないというか、なかなか共感しにくいので、「恋愛」以外の意味で捉えられる文にした、という理由もあります。
②その文を読んでどう感じましたか?
「僕は、君のたったひとつの闇になりたい。」
「僕」と「君」はどんな関係なのか、どんな人なのかがすごく気になりました。
私の解釈(という名の妄想)では、「僕」が「君」の幸せを全力で望んでいるんだろうな、と思いました。「君」の闇が「僕」だけ、ということは、「君」の世界の「僕」以外全てが光、ということになります。「君」の世界を光で満たしたいから、「僕」だけが闇ならいいのに、と願ってしまったのかな、という逞しい妄想でした。笑
「苦しむ理由があるとするなら、それは全部あなたが良い。」
恋愛的な意味で捉えるのが自然なのかな、とも思ったのですが、私にはそれが難しく…。なので、「自分と目標」の関係として捉えました。
目標に向かって一直線に進みたいのに、立場的に引き受けざるを得ない仕事に手がかかって…とか、やりたくもないことをやらなきゃいけなかったりとか。そういうのは結構、誰にでもあることかなと思います。
私自身に置き換えると、デザインか美術にならいくら苦しまされても良いけど、正直それ以外は嫌。バイトやどうでもいい仕事に時間と体力を裂かれて苦しむのは本当に嫌。
だから、「苦しむ理由があるとするなら、それは全部あなた(好きなこと、やりたいこと)が良い」。
✉松澤より
「僕は、君のたったひとつの闇になりたい。」
細部に違いはあれど根本的に考えていることが似ているな〜と、作品を見たときから思っていました。闇になりたいと言っているけれど、その想いの根底には「希望」が詰まっていること。一見、矛盾にも見える想いが、愛の下では成立しているのではないかと思って書きました。
あたたかく包まれているような作品で、一目見て「優しいな」と思いました。
「苦しむ理由があるとするなら、それは全部あなたが良い。」
完全な盲点!だけどわかる!
大学に入ったとき「美術に苦しめられてきた経験」と「これからも苦しめられる覚悟」を持ってここに立っている人がたくさんいるんだなって感じたことを思い出しました。そんなみんなを私はただただ尊敬しています。
夜空ってとても不思議で、見るときのこちらの精神状態によって、解放的なものにもこわいものにも見えてくるな、と思うんです。この作品も、わくわくして見えたり、静かに見えたり、どこの部分を見るかによっても印象が変わってくる。そんな良い意味での曖昧さ・不安定さが魅力的だなと思います。
さて、いかがでしょうか。これを踏まえて作品を再度見ると、また違った見え方があるかもしれません。
ことばはそれだけではあまりにも不十分です。そこに想いが乗って、やっと本物のことばになる。この展示会において「想い」は、それぞれの作品なのだと思います。
次回もその「想い」について紐解いていきます。お楽しみに!
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